本書は、劇場やイベントで仕事を始めたい人を対象として執筆され、プロダクションマネージャーが知っておくべき基礎知識やノウハウを解説している。演劇、オペラ、ライブコンサート、ツアー、ライブイベントなど予算、スケジュール、チーム構築とコミュニケーション、人の雇用などのトピックを網羅している。
本書は、パフォーミングアーツと呼ばれるライブにおけるプロダクションマネージャーを育成するための教科書である。そのため、予算、スケジュール管理などのみならず、人間関係の構築の秘訣などマネージャーがやる見えないタスクまで解説している点が素晴らしい。例えば、スタッフからやってみたいことの相談を受けた際、予算や技術的な理由で「ダメだ」と答えるとやる気がなくなったり、創る文化に水を差すことになる。どのように「いいよ」と答えるのか?このようなシチュエーションは、ライブのみならず、クリエイティブ作品作りの現場で直面する。このような極意を理解することで、優れたマネージャーになれるのである。ライブに関わる人はもちろん、クリエイティブなプロジェクトをマネジメントする立場の人にもお薦めしたい。