“Based on a true story” (この物語は、実話に基づいています) という断り書きを映画の冒頭で目にすることも多い昨今、実話に基づくからこそ登場人物に共感を覚え、勇気や希望を与えられた経験を持つ観客も少なくないだろう。インディペンデント映画プロデューサーや投資会社などに米国内の映画産業のデータを提供する、映画に関するデータ収集サイトThe Numbersによると、実話に基づく映画の本数は1929年から2016年公開予定にかけて計2,023本。そのうち、ドキュメンタリーが1,403本と最多だが、ドラマも447本に上り、最近ではアカデミー賞にノミネートされた『フォックスキャッチャー』をはじめ、『Black or White』『McFarland USA』など良作が目立つ。好調に映る実話に基づく作品だが、映画のみならず、テレビ、ドキュメンタリー業界で活躍する、あるいは経験を持つ数人に取材し、その効用と課題を探った。