グローバルプロダクションが今後のハリウッド映画の主要撮影戦略になりつつあるなか、言語や文化の違い、そして地域に特化した製作行程や労働環境の違いを十分に理解し、ハリウッドの製作チームと撮影地域の現場クルーの橋渡し役として円滑に現場運営をするために必要な語学力、現場経験、判断能力、各国での人脈、クリエイティビティー、知識、そして国際力を有し、まさに両者をつなぐ「ライン」となるプロデューサーが存在すれば、今後日本をロケ地候補として検討するための大きな要因になるのではないかと思う。
本稿は、ラインプロデューサーの職務を、海外出資作品の日本ロケ現場という立場から明記、検証し、国際共同製作の現場になぜ必要な人材なのか明確化し、今後日本人の製作人が独自のキャリアパスとして参考にしてもらうことを目的としている。日本で撮影されたインディペンデント系の長編映画作品の多くにラインプロデューサーとして関わっているGeorgina Pope氏に対するインタビューを元に、日本での撮影に至るまでのプリプロダクションの流れに沿って説明・検証していきたい。