本稿は、日本国内で日本映画を製作する場合のみならず、海外のプロダクションと共同製作する場合も含めて、日本の映画ビジネスにおいて使用されているプロジェクトスキームを概観することで、映画製作を行う前提となる「資金調達方法」について(法律論ではなく)より実践的なイメージを得ていただきたい、という趣旨で執筆したものである。
米国では、ハリウッドの大手映画会社に対して「スタジオ」という呼称を使うが、近年の日本映画界において、大手映画会社をスタジオと呼ぶことは?ない。東宝、東映、松竹、日活、大映などが、それぞれで雇用した監督、脚本家、俳優でプログラムピクチャーなどを製作していた頃は、かかる大手映画会社をスタジオと呼んでいたが、その当時と同じ意味でのスタジオは日本には現存しない。よって、本稿において使用しているスタジオという用語は、資金、ノウハウ、マンパワーなどの各要素が揃っており、映画プロジェクトを主導的に牽引することが可能な会社を総称したものとして捉えて頂きたい。