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企画開発契約四宮隆史(E&R総合法律会計事務所 弁護士)

 プロデューサーが映画製作を企図する場合、企画開発(デベロップメント)の段階を極めて重要なフェーズとして捉える必要がある。特に「法的リスクの回避」という点においては、もっとも重要なフェーズといっても過言ではない。企画開発というプロジェクトの初期段階で処理しなかった、または、処理できなかったLegal Issuesを事後的に処理することは非常に困難であり、想像以上に時間と労力を要する作業となる。

 企画開発段階で登場するプレイヤーとしては、原作者、リサーチャー(取材協力者)、脚本家、原案を作成した者、構成作家、ストーリーアナリスト(企画協力者)、アソシエイトプロデューサー、監督などが挙げられるが、それぞれが有する法律上の権利が異なるため、各役割と立場に応じたケアが必要となる。

 本稿によって企画開発段階において生じ得る主要な法的問題点についての一定の理解を得て、トラブルの「火種」を残さず、慎重に企画開発を進めて頂ければ幸いである。

目次

1. はじめに
2. 企画開発の段階で行うべきこと
 2-1. 企画開発の進行過程
 2-2. 企画開発の体制
 2-3. 共同企画開発契約における法的留意点(企画開発の初期段階)
  (1) 企画の特定
  (2) 権利の共有
  (3) 各権利者との対外的窓口の設定
  (4) 報告義務
  (5) 表明保証
  (6) 費用の拠出
  (7) 企画開発体制が変容した場合の対応
  (8) 期間
  (9) 譲渡禁止
  (10) 秘密保持
  (11) 助成金を得るための条件
  (12) その他
3. 原案、原作の発掘
 3-1. 原案について
  (1) 「原案」の法律上の捉え方
  (2) サブミッション契約
 3-2. 原作
  (1) 原作利用契約
  (2) オプション権契約
  (3) オプション権契約の留意点
   Contents of“Option Right”(オプション権の内容)
   Exercise of Option(オプション権の行使)
   Right to Engage in Preproduction(製作準備を行う権利)
   No Obligation(義務の不存在)
   Information(情報の提供)
 3-3. 企画書の作成
4. 脚本の獲得または作成
 4-1. 脚本家との契約について
 4-2. 脚本家契約の内容
  (1) 映画の特定
  (2) 脚本の執筆業務の委託
  (3) 業務の遂行
  (4) 権利の譲渡
  (5) 宣伝、販売促進活動への協力
  (6) 対価の設定
   成功報酬方式
   印税方式
  (7) 保証
  (8) クレジット
  (9) 確認事項
  (10) 権利行使
  (11) リライトの場合
 4-3. 著作者人格権不行使特約

基本情報

ページ数
19ページ
出版社
経済産業省
言語
日本語
発行年
2011年