日本においては、国際共同製作の事例も少なく、共同製作相手との具体的な交渉をどのように進めていくのが望ましいのかというノウハウについても、まだ一般化されていないところです。
本プログラムは、海外の映画祭やコンテンツマーケット等で具体的な共同製作パートナーが見つかった段階から、どのように交渉を進めていけばよいのかについて、段階を追ってまとめたものです。
このパートでは、具体的な事例やストーリーを元に、実際の国際共同製作にはどのようなケースがあるのか、その全体像について把握することを目的としています。
まずは、国際共同製作においてはどのような契約が必要となるのか、そしてそれぞれの契約にはどのような意味があるのかといった、概略を理解しておく必要があります。
コンテンツ企画に関するクリエイティブ面の同意があったうえで、そこからどのようにビジネスを進めていくのかについて、双方の意向や意思をまとめていくことが重要です。頻繁に顔を合わせて交渉することが難しいケースも多いため、何について合意できており、何が検討課題となっているのかといったポイントを、メモ等の形で事前に整理しておくことが必要になります。
特に欧州との国際共同製作においては、それぞれの国や地域の提供している補助金や助成金、タックス・インセンティブ等の活用を前提として、パートナーの選択や予算組みを行うケースが多く見られます。まずは、国内外にどのような補助金や助成金があるのかを把握しておきましょう。
国際共同製作契約は、日本と海外の契約当事者間で、製作費や制作業務をどのように分担するのか、また、完成後のコンテンツの権利や収益をどのように分配するのかを定めるものです。しかしそれだけでなく、その内容によって各国の補助金や助成金をはじめとする支援を受けられるかどうかにも影響があるため、補助金や助成金の活用を検討する際には特に慎重に内容を検討する必要があります。