ものが売れない時代といわれ続けて久しくなります。よい製品やサービスを提供しているのに売上が伸びない、良質なものづくりを続けているのに人が採用できない、アピールはしているし、差別化もできているつもりだが結果がでない......。多くの企業、団体、自治体の方々がそのような課題を感じています。そのような中で、企業や製品の魅力を、文字や写真だけでなく映像で伝えたいというニーズが高まってきており、広告費全体における動画広告費のシェアも年々上がってきています。
ひとえに動画といっても、面白い映像で注目してもらうもの、静止画では説明が難しい機能などをわかりやすく伝えるものなど様々な種類があります。その中でも近年、注目されてきているのが、人の感情を動かす映像の効果です。記憶に感情が結び付くと、長くかつ深く人の行動に影響を与えることが、科学的な見地からも明らかになっています。Producer Hubでは、このようなブランディングを目的した映像コンテンツを「ブランデッドコンテンツ」と定義し、その具体的な作り方や制作パートナーの探し方などについてご案内しております。
なお、ブランデッドコンテンツの具体的な制作プロセスについては、ラーニングプログラム内の「ブランデッドコンテンツの作り方」をご覧ください。
人が映像を見る動機を整理すると、「面白いもの」「役に立つもの」「感動するもの」の3つに集約することができます。そしてこの分類は、企業の広報戦略とも密接な関係があります。狭義のブランデッドコンテンツはCのブランディングになりますが、日本語でいう「ブランド」に関していえば、ABCいずれにおいてもブランド力の向上と無関係というわけではなく、ブランデッドコンテンツと言われるものでも、ABに属するものもあります。
Aのように、まずは数多くの人に注目してもらいたいという場合には、著名人などを活用したCMやインフルエンサーなどを活用した動画などが使われています。比較的短時間の映像を短期的に繰り返すことで、視覚野に伝える手法であり、動画内容の面白さと製品の関連性は薄い場合も多く、スポンサー名や商品名の表示という点でつながっているケースが大半です。
またBでは、他の製品やサービスとの差別化を目的として、動画ならではのわかりやすさにより、機能的な価値を訴求しようとするものです。図や写真などと違い、時間と空間をイメージさせることにより論理的な理解を促進させるという効果があります。
これに対して、Cはストーリーを中心とした展開により、視聴者の心の中に特定のイメージを作り上げるものです。熱狂的なファンの形成や、他の商品に乗り換えることなく継続的に購入してくれるロイヤルカスタマーの形成が目的となることが多く、情動と記憶の結合により、長期的な効果を生み出します。
ひとえに映像制作会社と言っても、上記のABCのように分類しただけでも、それぞれを得意分野とするグループが存在しています。制作会社の活動領域は、CM、番組、映画など相性のよいメディアに依存していることが多いのですが、最近は様々な分野の制作会社が、インターネットでの配信を前提とした映像制作に力を入れつつあります。
映像制作における要素は、撮影と配信作業だけではなく、構成、脚本、音声音楽、編集など、時間と空間を操る高度な作業です。自社の目的に合わせて、どのようなチームとパートナーシップを組めばよいのかを決めることが必要ですが、その意思決定の材料は難しいところです。以下に、判断の材料となる制作会社の特徴を記述していきます。
ブランデッドコンテンツを制作する際に、まず映像制作の目的を明確にする必要があります。ブランディングの考え方は、会社のロゴや製品のパッケージを入れ替えるということだけでなく、経営の根幹に関わることです。しかしながら、会社の基本理念や事業計画をきちんと完成させてからブランディングに臨むと考えていては、なかなか制作にたどり着くことが難しくなってきます。
そこでまずは中期的な目標を定めます。次にその目標を実現してくれる社外の人をイメージします。複数のグループがいるかと思いますが、それぞれにおいて具体的な人のイメージをペルソナとしてまとめてください。そうするとその人たちが日常的に接している映像メディアが見えてきます。メディアの特定が難しい場合には、専門家に相談するのもよいかと思います。ここまで整理ができた段階で、制作する映像コンテンツの内容及び具体的な制作予算の検討を行います。また、必要な場合には合わせて広告予算も検討します。そして、このタイミングの前後で映像制作会社の選定に入ります。というのも、制作予算が決まっていないと、想定される映像に幅がありすぎ、具体的な制作物のイメージがあったとしても、予算との兼ね合いで最終的に不完全な仕上がりになってしまうということが起こりうるからです。
最も重要なコミュニケーション相手はプロデューサーと映像ディレクターになります。
プロデューサーとのコミュニケーションの中心は、映像制作委託契約の内容を決めていくことです。制作物の概要、契約金額、納期といった契約書に落とし込む内容を詰めていくことになります。また、メディアの使い方などの相談もプロデューサーが相手となります。
それに対してディレクター (監督・演出) とは、具体的な映像の中身について相談することになります。ひとつひとつのシーンや演出などに要望を出すことも可能ですが、必ずしもそれがうまくいくとは限らないようです。もし演出自体を会社として行いたい場合は、期間契約等で技術的な面だけをサポートしてもらうという方法を検討したほうがよいでしょう。
制作したブランデッドコンテンツがどれだけ有効に機能したかを確認する効果測定は、最後になって行うものではありません。最初の目的設定のタイミングから準備を行っておくことが重要です。これにはPDCAサイクルによる検証という意味合いもあるのですが、実は映像制作においては、映像の構成が当初の目的からずれていくことをチーム内で防ぐという重要な目的があります。制作現場では、発注側と制作側が一緒になって制作を行うことにより、想定になかったシーンやよいアイデアがでてくることは珍しくありません。奇跡のようなシーンが撮れてしまうこともあるのですが、場合によっては、そのことで本来の目的を逸脱してしまうこともありうるからです。
現在、経済産業省によって、ブランデッドコンテンツ制作に関する補助金の整備が行われており、映像産業振興機構 (VIPO) より公募が開始されております。補助金申請にあたって、制作会社の選定や効果測定に関するアドバイスなどが必要な方は、以下のフォームよりお問い合わせください。